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マルチスピーカシステムにする時、周波数帯域を分割するにはネットワークが必要である
が、実際にスピーカをネットワーク(NW)を介してドライブした時の様子は余り検討さ
れていない様なので若干検討して見た。
ネットワーク(NW)は4次バターワースLCローパスフィルタに付いて、アンプの出力
インピーダンス、負荷抵抗値を変化させた時、スピーカとしてTAD TL1601bを
用いた時、TAD TL1601bにインピーダンス補正回路を接続して定インピーダンス
化した時、に付いて負荷両端での出力電圧の周波数特性の変化をSPICEを用いたシミュレー
ションして調べて見た。
1、負荷抵抗値RLを変化させた場合の周波数特性の変化
画像(上)にシミュレーション結果を示すが、インピーダンス整合が取れているRL=8Ωで
は綺麗な4次バターワースLPF特性が実現出来ているが、他のRL値では周波数特性上に何らか
の暴れが生じているのが判る。
2、NW(4次LPF)にTL1601bを接続してアンプの出力インピーダンスを変化させた場合
画像(中)にシミュレーション結果を示す。アンプの出力インピーダンスの大小に係わらず
スピーカのインピダンスの影響を受けて周波数特性(F特)上にうねりが観測されているのが
判る。アンプの出力インピーダンスがRo=20mΩ(DF=400/RL=8Ω基準)でも聴感上、弁別出
来なくてもうねりは見える。
DF=10/8Ω位までは余り変化は見られないが、DF値が之より小さくなって来ると段々とF特上
の暴れが大きくなって来るのが判る。DF=1以下では共振周波数、反共振周波数でインピー
ダンスの盛り上がりの影響を受けて聴感上無視出来ないF特の暴れを生じている。
アンプの出力インピダンスが下がって来るとスピーカに対する制動も効き難くなるので締り
の無い低音になる事が想像される。
3、負荷としてTL1601bにインピーダンス補正回路を追加した場合
画像(下)にシミュレーション結果を示す。インピーダンス補正回路によって負荷が定イン
ピダンス化されたので、アンプの出力インピーダンスが変化しても出力レベルは変わるが周
波数応答には大きな変化が観測されない事が判る。
アンプの出力インピーダンスが上昇してDF=1/8Ω以下になって来るとカットオフ周波数近傍
で肩特性が鈍って来るのが観測される。
以上より、スピーカのインピーダンス補正回路は頗る有効である事が判った。亦、昔から言
われる様にスピーカのドライブは電圧源駆動する事が正しい事が改めて確認出来た。
尚、此の検討に4次バターワースLPFを用いたのはある程度高次LPFで肩特性が観測し易いフ
ィルタとした為で、嘗て設計したデータの中から引っ張り出して来た物である。
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